牛戦車

この牛戦車には夢がある!

上りエスカレーター

エスカレーター前、歩き乗りの待ちの列は三つ並んだATMの真ん中にまで達している。
止まり乗りには列はできていない。


カジキマグロである俺は奥行きのある男だから、普通の人の倍の距離が必要だ。
周りの為を思って上向きで垂直になると前に進めなくなるし、その場でターンするにも細心の注意を払わなければ厄介事は免れない。


止まり乗りの人々は一人、また一人ぽつんとエスカレーターに乗っては降りていく。


当たり前のことだがエスカレーターとATMの間にあるビジネス店の前には列が届いている、もちろん入り口は列によって塞がっている。


隣で止まって進んでいる人よりも土踏まず一つ分でも早くエスカレーターから離れるために歩いて進んでいるのに、並び続けて乗るも降りるも遅くなるのは本末転倒だし転倒したら危ない。


歩き乗りの列はびくともしない。


こうも詰まったエスカレーターの歩き乗りだと不可思議なもので、人によっては後から乗った止まり乗りに追い抜かれることもちらほら。


俺が列に並んでから一体どれほどひと足お先に止まり乗りの人々がエスカレーターから離れていけただろうか。
俺が列に並んでから一体どれほど横入りして暫し並んでビジネス店に入りっぱなしの人がいただろうか。


エスカレーターから離れるどころか近づくこともままなってない。

遠目で先頭が数人増した。

 

 

 

 


俺は回遊魚だから止まって死んだ!