牛戦車

この牛戦車には夢がある!

2023年6月20日(田澤)

間違いなく今が人生最大風速であると言える。ついこのあいだ、家族と暮らした部屋を手放すことにした。そしてたった今管理会社へ連絡してスパイスチャーハン完食。これからここに書くのは涙の物語ではない。
 
手を放すと部屋は風にぶっとばされてもう見えなくなってしまった。俺はセブンの冷凍ゾーンへ直行。「しましまうまうまバー」を購入して再び外へ出る。
部屋も所詮呆気なくぶっとぶくらいのものだった。そして呆気ないのは思い出ではなく、外と例外なく等価交換の世界であった、我々の暮らした部屋だった。つまり家賃だった。比べ物になる思い出はないし思い出は決してぶっとばない。だから俺はいま家賃をぶっとばした風の中に立ってぶっとばないでいる。この風は未来の方向から強く吹いていて(今はこう信じてやまない)これから俺はそっちの方向に歩いていく。だから向かい風はいっぱい受ける。でも俺はこの道を進むために欠かせないものを、ぶっとんでいった家賃のもとでめいっぱい経験した。これまで本当にありがとう。この部屋で一緒に暮らしてくれてありがとう。
きっとこの先俺はまだ手を放さなきゃいけないときがある。いまこうして文にすることもとても恐ろしく苦痛を伴うものだ。だけど俺はそのときこの風にぶっとばされないで立ってなきゃいけない。いつか子供が大きくなって俺のことを知るときのために。そのときにどんな場所にいても君のことを思い切り抱きしめられるように!俺は未来に思い切り歩いていく。ふと目の前の石碑が印象的に感じられ「しましまうまうまバー」齧りながら吸い寄せられるようにして近づいた。
 

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小さき者よ 不幸なそして同時に幸福なお前たちの父と母との祝福を胸にしめて人の世の旅に登れ 前途は遠い そして暗い 然し恐れてはならぬ 恐れない者の前に道は開ける 行け 勇んで 小さき者よ